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失敗しない受験勉強。うまくいくひとは、脳の使い方を知っている。-脳科学者・澤口俊之さん

2019.10.18
失敗しない受験勉強。うまくいくひとは、脳の使い方を知っている。-脳科学者・澤口俊之さん
どうしたら受験に失敗しないか。どのような環境であれば、勉強の成果が上がるのか。テレビでもお馴染み、脳力を伸ばす方法に精通した脳科学者の澤口さんに、「失敗しない受験生活法」を教えてもらいました。

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

いかにして、
無駄に脳を使わないか

受験勉強を失敗しないために、はっきりと言えることは“無駄に脳を使わないこと”です。人間の脳が司る「意志力」には上限があります。勉強以外のことに脳を使うと、それだけ勉強に使う分が減ってしまうのです。
 では、どんなことが無駄かというと、朝起きてすぐにスマホを見ることです。情報の濁流にさらされてしまい、非常に脳を使います。あとテレビ。自分で見ていなくても、他の人がテレビを見ているだけで、脳は反応してしまいます。さらに“食事のことを考える”のも、脳を使ってしまいます。
 たとえば、自宅で勉強していると「ご飯だよー」と親に呼ばれたり、ひとり暮らししていれば、今日は何を作ろうか、どこに食べに行こうかと考えたりしてしまいます。これも脳には負担となるのです。受験勉強という一点においては、こういったことでさえ、邪魔だと言えます。限られた「意志力」を、いかに勉強に割り当てられるかが重要なのです。

まず自分のタイプを見極める

 脳のチカラを引き出すために不可欠なことは、“いい睡眠”を取ることです。でも、人によって“いい睡眠”は違います。よく「朝型・夜型」といいますが、裏返せば、これは“いい睡眠”のタイプです。朝が得意ならば夜寝るのがいい。夜が得意なら昼間寝るのがいい。このように、自分のタイプを知り、いつ寝るのがいいのかを知っておきましょう。また、ベストな睡眠時間も早く見つけたほうがいいですね。ベストな睡眠時間も人それぞれ違うのです。いい睡眠を保つには、人に合わせるのではなく、いかに自分の睡眠ペースを守れるかが大切です。
 ただし、注意してほしいことがあります。試験は朝です。つまり、午前中から力を発揮できる朝型が有利なのです。そのため夜型の方は、ぜひ試験前には徐々に朝型にしていってください。人間には適応するチカラがあります。1〜2週間もあれば、夜型も朝型に変えられます。

散歩は脳を活性化する

 勉強の効率をあげるコツをもう少しお話ししましょう。たとえば勉強する部屋の壁は、淡い色がいいです。照明の色は、暖色系よりも青系統の寒色のほうが脳の働きに良いと考えられています。また静かすぎる部屋もよくない。適度な雑音があったほうがいいですね。
 あと近くに散歩ができる公園があるといいでしょうね。問題が解けなくて気分転換に散歩に出たら、散歩中に解けたという経験がある人もいるでしょう。これは脳科学的には、きわめて真っ当なことなのです。クリエイティブな発想は、体を動かしている時に出やすい。体を動かしていると、脳のクリエイティブな部分がするのです。

不安は伝染する

つぎに周囲の人との付き合い方についてお話ししましょう。ひとつ言えるのは、同じ目標を持っている人が集まると、プラスの効果を生むということです。
 人間の感情は伝染します。受験生を持つ親はなにかと不安なものです。近くにいると「ちゃんと勉強してるの?」とか言葉にしなくても、心のどこかで思ってしまうものですが、こうした不安や心配は伝染してしまいます。

 一方で、幸福感、やる気もまた伝わります。ですから、例えば、一所懸命に勉強に取り組んでいる仲間と過ごしていれば、自然に自分も勉強に打ち込めるようになるのです。お互いに、小さな達成で幸せを感じていると、その幸福感が勉強の効率を上げてくれるのです。実際、成績のいいグループにいると、そのレベルに達していくことが様々な研究でわかっています。そういった意味では、いまの自分よりも、少しレベルが高い人たちと一緒にいると、成績が上がりやすいということになります。「朱に交われば赤くなる」というのは本当なんです。

小さな成功を積み重ね、
大きな成功をつかむ方法

 最後に、受験勉強をうまく続ける、モチベーションのお話しをします。約1年間、試験に向けてモチベーションを保ち続けるのは大変で、挫折してしまうかもしれません。しかし、結構簡単に克服できるのです。
 まず目標を書く。そして、その目標までのタイムスケジュールを作る。ポイントは、この目標は“変更してもいい”、目標には“幅を持たせる”ということです。たとえば、「10月までに数学の偏差値を60にする!」という厳密な目標設定ではなく、「10 月頃に、数学の偏差値を58~62にする!」といった風に。少し幅を持たせた目標設定をし、目標予定を期間で書いておくのです。はじめからピンポイントで高い目標を設定すると挫折してしまいがちですが、幅があれば、到達しやすく、小さな成功を積みかさねられます。ついには目標よりも高い地点に立つことさえできる方法です。こうして1年の間に、小さな成功をたくさん積みかさねる、これが受験勉強のモチベーションを保つコツです。ぜひ脳にいい勉強法で、効率良く、受験勉強に励んでください。

澤口俊之 脳科学者
1959年東京生まれ。北海道大学理学部生物学科卒業。京都大学大学院理学研究科修了。理学博士。エール大学医学部神経生物学科研究員、京都大学霊長類研究所助手、北海道大学文学部助教授、北海道大学大学院医学研究科教授を経て、2006年人間性脳科学研究所所長。2011年から武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部教授兼任。2012年より同大学院教授も兼務する。専門は認知脳科学、霊長類学で前頭前野を中心に研究。「ホンマでっかTV!」などTVにも出演。

※この記事は、2015年12月発行『BASE』vol.2の記事を転載したものです。

ライター
『BASE』編集部

"HAVE A BASE"をテーマに、学生寮・学生会館を運営する共立メンテナンスの特任チームが編集・発行する不定期フリーマガジンです。大学や専門学校への進学、留学、就職や起業など、これまでに経験したことのない世界に飛び込もうとする方に役立つヒントを詰め込んでいます。