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不安を乗り越えて出会えた、夢と新しい目標

2019.10.18
不安を乗り越えて出会えた、夢と新しい目標
宮城県仙台市にあるドーミーで暮らす奈那さんは、今年の春に卒業を迎えます。彼女はどんな学生生活を送ってきたのでしょうか。友達のこと、これからの夢、思い出など、これまでの生活を振り返りながら話してもらいました。

この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

 今年の春に大学を卒業し、社会人としての第一歩を踏み出す奈那さん。
「いまは卒論や卒業旅行の計画とか、いろいろやることがあって忙しく過ごしています。卒業旅行は海外に行きたいね、と友達と話しているんですよ」
 現在は、残り少ない学生生活を楽しんでいる奈那さんですが、これから始まる新生活への意気込みを聞いてみると――。「正直なところ、今は“ちゃんとした社会人になれるのだろうか”と、期待より不安のほうが大きい気がします(笑)」
 こう話す奈那さんは、実家から遠く離れたこの大学に入った当初も、いろいろな心配や不安を抱えていたといいます。 「あの頃は大学や新生活にちゃんと馴染めるか、不安な気持ちでいっぱいでした。でも、心配や不安を取り除いてくれたのが、友達だったんです」

不安から楽しさに変わった

 その後の奈那さんの支えにもなった友達とは、学生生活がスタートしてまもなく、ドーミーで出会いました。
「大学も同じだったので、その5人とはすぐに仲良くなり、食堂や共有スペースなどでよく一緒に過ごしていました。ドーミーに帰って食堂をのぞくと、誰かいるというのは安心感がありましたね。たびたび夜遅くまで話し込んでしまい、寮母さんに怒られたのも今では良い思い出です」

友達と乗り越えた大震災

 奈那さんがドーミーで過ごしてきたなかで一番印象に残っている出来事は、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。大学2年生になる前の春休みでした。

「地震が起きたときは、近くの体育館へ避難しました。すぐにマネージャーさんや寮母さんが食事や毛布などを持ってきてくれました。そして、次の日にはドーミーに戻ることができました」
 奈那さんが住んでいるドーミーは、仙台市内でも比較的早く電気と水道が復旧しましたが、食料の調達が困難な状況は続きました。そこで、全国のドーミーの協力のもと、食事を絶やすことなく提供する取り組みが最優先で行われました。
「地震から2日後には、いつも通りの食事がでていました。おかげで生活の不安はありませんでした」

そばに友達がいる、心強さ

 地震からしばらく経ってもなお余震が続きました。またいつ大きな揺れが来るかわからない。この恐怖がひとりで部屋にいた奈那さんを襲いました。
「すると、マネージャーさんが食堂や空き部屋を解放してくれたんです。私はずっとみんなと一緒に過ごしました」
 このとき奈那さんが一緒の部屋で過ごしたのは5人の友達。仲が良かったとはいえ、震災前はお互いに部活や勉強などで忙しく、なかなかゆっくり会って話す時間が持てなかったそうです。
「24時間ほぼ一緒にいましたね。とにかくいろんな話をしました。みんなで布団を並べて寝たり、日中は食料調達にでかけたり。改めて友達が側にいてくれることの心強さを感じました。あの大変な時に友達と過ごした時間は、今でも大切な思い出になっています」

いつもの食事が助けてくれた

「食事の心配をしなくて良いというのは、とても大きいことです」と語る奈那さん。毎日ちゃんとした食事ができる、これは公務員試験の勉強で忙しく過ごしていた時、特に感じたそうです。

「おかげで体調を崩すことなく、試験に挑むことができました。勉強に集中したいときに自炊もしなければならないのは、大きな負担だったと思います。きっと食事がおろそかになっていたのではないでしょうか」
 また、いつも気にかけてくれていたマネージャー夫妻、配膳のときに声をかけてくれる食堂のスタッフの存在も、大きな安心につながっていたそうです。

「学生時代を楽しむためには、食事面がしっかりし、そして安心して暮らせる場所が必要だと、親はきっと考えていたと思います。それでここを勧めてくれた。離れていても、いつも私のことを想ってくれる親には本当に感謝しています。たまに遊びに来ますが、私の生活については特に心配はないようです」

離れてみると分かること

「いま振り返ると、大学生活が始まってまもない頃、震災のとき、試験勉強で忙しかった頃などは、不安や落ち着かない気持ちを抱えていました。でも、ドーミーでの生活は安心感がありました。その気持ちって、いつも生活していると気づかないんですけどね。それは、どこか実家のような、離れてみるとそのありがたさに気づく、そんな感覚に近い場所でした」

 学生生活を過ごしたこの場所もあとわずか。これから新たな生活が始まりますが――。
 「就職活動中はいろいろ悩んだ時期もありましたが、結果的に自分が決めた道に進むことができました。これからは自分の親のように仕事を頑張っていきたい。そして、いつか結婚して母となり、すてきな家庭を築きたいという夢もあります。今は、住み慣れた場所を離れる不安や寂しさのほうが大きいですが、学生生活での経験や自信を糧にして、社会人として頑張っていきたいと思います」と強く夢を語ってくれました。


[ お母様へのインタビュー ] 親御さんは、離れて暮らす奈那さんをどんな思いで見守っていたのでしょうか。

 娘がひとり遠いところで暮らすことは、親としてはとても不安で、心配でした。でも、ここはセキュリティや食事面、マネージャーさんや寮母さんによるケアがしっかりしていたので、離れていても安心して過ごせました。特に食事は素晴らしいですね。春から娘は実家に戻ってきますが、ドーミーの食事に慣れた娘を満足させられるかしら、と不安です(笑)。
 震災のときは最初電話も通じず、不安のまま1日を過ごしていました。次の日にドーミーと連絡がとれ、寮母さんがいまの状況や娘の様子などを細かく教えてくれました。とても丁寧に対応してくださったので、心からホッとしたのを覚えています。娘の学生生活をしっかりサポートしてくれたドーミーには本当に感謝しています。
 これから社会人となり、いろいろ不安もあるでしょうけど、娘には「とにかくやってみなさい」と言ってあげたい。これから出会ういろんな人たちの話を聞き、後悔のないように歩んでもらいたいですね。

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※この記事は、2015年2月発行『BASE』vol.1の記事を転載・再編集したものです。

ライター
『BASE』編集部

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